子宮頸がん~女性の病気について~

子宮頸がんは定期的な健診で防げる病気

子宮頸がんは定期的な健診で防げる病気

子宮頸がんとは?

子宮は、その入り口部分を子宮頸部といい、子宮の奥、胎児が発育する場所を子宮体部といいます。
子宮頸がんとは、子宮頸部に発生する悪性の腫瘍をいいます。
子宮体がんが50歳代から60歳代がかかりやすいのに対して、子宮頸がんは、30歳代後半から
60歳代の広い年齢に満遍なく多く見られ、近年では20歳代の若い女性にも増えています。※

原因

多くの子宮頸がんでヒトパピローマウイルス(HPV)の遺伝子が見つかっており、このウイルスが発病の原因であると考えられています。
ヒトパピローマウイルスは、性交渉で感染するウイルスで多くの場合は感染しても自然消滅しますが、ウイルスを持ち続けた場合は、10年ほどの潜伏期間を経て徐々に子宮頸がんへと進行します。

症状

自覚症状としては、不正性器出血(月経でないときの出血)や帯下(おりもの)の増加等がありますが、初期の子宮頸がんにおいては、自覚症状がない場合がほとんどです。

検査・診断

子宮頸がんの検査には、細胞診検査とHPV検査の2種類があり、どちらもヘラや綿棒で細胞を採取して調べる検査です。痛みもなく短時間で終わる検査であり、この2つの検査を併用することで検査結果の精度を高めることができます。
細胞診検査の結果は、クラス分類またはベセスダ分類により表されます。
最近では、従来のクラス分類(クラスⅠ~Ⅴに分類。クラスⅠ・Ⅱは正常。クラスⅢ~は精密検査が必要。)
に変えて、より詳細な異常を診断することができるベセスダ分類による検診を行う医院が増えてきています。
なお、子宮頸がんと診断された場合は、さらにがんの広がり具合によって、0期からⅣ期までの進行期に分類されます。


治療

細胞診検査によるがんの程度とがんの進行の範囲によって治療方法は異なります。
手術には、子宮頸部を円錐状に切除する子宮頸部円錐切除術や、子宮を全て切除する
単純子宮全摘術、子宮と子宮の周りの卵巣・卵管・リンパ節まで取り除く広汎子宮全摘術などがあります。
病状や年齢等を考慮したうえで、これらの手術か、または放射線療法、抗がん剤治療の中からもっとも適した治療方法を選択します。

早期発見

子宮頸がんは、初期の段階で発見できれば完治も可能ながんとされています。
しかし、初期の子宮頸がんは、ほとんど自覚症状がないので、不正出血等の症状があらわれたときには、かなりがんが進行していることもあります。
初期段階でのがんを見落とさないようにするためにも、定期的に子宮頸がん検診を受診するのがよいでしょう。

予防

子宮頸がんは、ウイルス感染により発症するため、感染前にワクチンを接種することで予防が可能です。
その子宮頸がんの感染予防を目的としたワクチンが、2009年、日本国内にて初めて承認されました。
現在では、公費によりワクチン接種にかかる費用を助成する自治体も増えてきています。

※出典元:厚生労働省 平成20年「患者調査」


issue_dr_img_02
お話を伺ったのは 寺師 恵子先生

東海大学医学部卒業。産婦人科勤務を経て、東京・表参道に産婦人科と皮ふ科を併設したけい子レディースクリニック表参道を開院。

Check! 思い当たったら 子宮頸がんの恐れあり!?
  • 月経以外の出血
  • 帯化(おりもの)の増加